1年目の車検、開業1周年記念


 国鉄大井工場での車検
 1983年4月

 開業から1年の4月に、ボイラーの法定点検を兼ねる
 車検のため、山手線大井町駅に隣接する国鉄
 大井町工場へ持ち込まれた。
 ※現在の「東京総合車輌センター」

 我々学生運転手の見学要望に対し、初めての車検と
 いうこともあって、大井工場側の配慮で、貴重な
 車検の様子を見学させていただく機会に恵まれた。

 本物同様にボイラーがむき出しとなっている状態での
 検査の様子から、各部品(安全弁、加減弁、ピストン
 等)が解体され磨きあげられた状況、車輪の磨耗
 調整のため研磨作業が行われているところなどを、
 解説付きで見させていただいた。

 併せて、本物の電車(103系、115系)の車検現場
 にも入れていただき、車検のためバラされている台車
 の実物を前に、旧性能(吊り掛け式)から進化した
 新性能方式の駆動構造の違いについて、とても
 丁寧に説明をしていただいたことを思い出した。


大井工場といえば、昭和天皇「御料車」の保管場所でも知られており、敷地の隅に1編成分独立したグレーの建屋があるのを案内いただき、そこが「御料車」の収められている車庫であることを、そっと教えていただいた。

 

つまんでいるのが「加減弁」↓左右にはばらされて磨き上げられた「安全弁」、キャブ天井からはずされた「蒸気圧計」までもピカピカです

      解体され取り出された↓「ピストン」と「ロッド」類
 

 1周年記念
 

 1983年 5月2日

 車検を終え新品同然に
 リフレッシュされた機関車が戻り
 「チビクロ号」開業1周年の
 記念運転が行われた。



 ←公園内陸橋からの、
   ハイアングルショット

 2年目に入り、我々の運転技量も高まり、水曜日の比較的
 空いている時をみはらかって、通常の各駅停車(1周運転)
 から駅を通過させる「2〜3周」運転の試みを始めた。

※この運転は、複数周回の技量を持つ者にしか行えない
  ため、運転技能の習得度確認に用いられた。

 現場を管理する駅長と、2週運転を「急行」3週を「特急」
 と申し合わせ、時々抜き打ちで運転技量確認が行われた。

 1周で停車の駅を減速せずに通過する「急行」運転は、
 乗客にとっては「サプライズ」で、皆の歓声を背に受けての
 運転は、機関士としては「ニンマリ」だったのを思い出す。

  家族連れや子供たちで賑わう中↑満員の乗客と共に発車合図を待つ筆者